|守護の種類としての 「お守り」「厄除け」と「魔除け」
「お守り」や「魔除け」は明確に区別を付けられていないのが一般的な認識と思います。
しかし、厳密には外からの魔と内から来る災いに対して、と対象が分かれているのが本来の姿なのです。
基本な違いや目的などを知ることで、現状は?将来は?どちらを必要とするのか?もしかしたら両方?・・と判断することが出来るかと思います。
また、厄年は体調や体質の変わり目として言い伝えられてきた歴史には先人の知恵や体験など、それなりに根拠があることを信じて厄年には「厄除け」を準備すべきでしょう。
|「お守り」と「厄除け」や「魔除け」は何が違うのか?
「魔除け」を英訳すると「talisman」に対して、「厄除け」は「amulet」になり英訳上では「お守り」と同じです。
という事は、英語圏では「厄除け=お守り」となり、「魔除け」とは一線を画す!という事になるのでしょうか?!
|外から来る「魔」に対抗するのが「魔除け」!
一般的には、「魔」とは災厄全般を示し自分の外から来るもので、言い換えれば外敵を指しています。
「魔もの」と表現される場合が有るのは、具体的なイメージ像が創られて目にする事が出来るものが存在している!という事が影響している様です。
例えとして、ふさわしいか否かは別にして映画的に表現すると、サタンが「魔もの」であって、十字架(クロス)が「魔除け」になるということです。
日本の代表的な「魔もの」と言えば、「鬼」が(います!ではなく)あります?!
「鬼」を寄せ付けないため「魔除け」は地方や地域の民話や風習によってかなりの違いがあります。
一世を風靡している「鬼滅の刃」では鬼を退治する武器として「日輪刀」はありますが、鬼を寄せ付けない魔除けは無かったという事になるのでしょうか?
内容の詳細を知らないので、間違っていたら「ごめんなさい!」です。
話を戻して、玄関先に紙の「お札」を貼る、戸口に柊の枝にイワシの頭を刺して飾ることで「鬼」を寄せ付けないための風習などがあり、全国的に行われる節分に撒く豆も「魔除け」グッズの一種になります。
「魔除け」とは「魔もの」や外からの「魔」から身を守ることに特化した「お守り」を指すという事になるのでしょう?!
日本的に言うなら、神社の「お守り」や「数珠」も「魔除け」になると言われていますが、外敵である「魔」に対して、寄せ付けない強い気持ちや心理状態になっている事がとても重要になります。
その道の専門家?の方々は、自殺の名所と言われる場所で自殺者が多いのは、「魔」の波長を受け入れてしまう、同調してしまうからで「魔除け」を身に付けるとういう気持ちを持つことが自殺を阻止するための第一歩になるのかも知れません・・と。
つまり、自らの意志で「魔」を寄せ付けないために「魔除け」を持つという発想に至らない、気が付かない場合は魔を避けるという気持ちにまでたどり着けなかったという事になるのでしょうか?
結果として、「魔」の波長を受け入れてしまったり同調してしまうという事なのでしょう。
「魔除け」を持とうとする気持ちが、「魔除け」の原点という事になります。
|「厄」とは「厄年」から来ている?!
「厄」とは陰陽道の教えから、災厄が多く降りかかるとされる年齢を「厄年」と表現されたのがきっかけと言われています。
そもそも「厄」とは、人間が年齢を重ねることで起きる、内からの災いを「厄年」と表して注意喚起するという意味合いも有る様です。
「厄年」は男性ならば25歳、42歳、61歳を、女性の場合は19歳、33歳、37歳、を本厄としていますが、神社の教えによっては年齢が前後したり、他の年齢も加えられたりする場合もあります。
これは、年齢を重ねる事による健康上の節目と捉えられており、現代においても身体の変化を感じられる変わり目にもなっている様です。
「厄年」の数え方は、日本古来の年齢の数え方の「数え年」によるので、現代の誕生日で数える「満年齢」とは違いが出てきます。
「数え年」では、赤ん坊が誕生した瞬間に1歳と数え、その後は誕生日ではなく、元日を迎える毎に年齢が増えていきます。
そのために、12月に生まれた赤ん坊は誕生した時点で1歳となり、生後1カ月以内の元日で2歳と数えられるので、現代の「満年齢」とは1歳または2歳の差が生じる事になります。
少し横道にそれましたが「厄除け」とは、厄年に神社の祈祷にて行われる厄払いを指すのが一般的です。
「厄除け」の祈祷を行う事で、健康など気をつける年齢になった事を自覚する目的もありますが、加えて本厄(大厄)の前後を前厄、後厄と称し、通して3年間気を付けて過ごす意識付けの意味合いもあるのです。
|「お守り」とは?そして期待する効果は?
一般的な認識としては「魔除け」も「厄よけ」も「お守り」の中に含まれると受け取られていますが、厳密にいえばそれぞれが持つ意味は違っています。
「魔」は自分の外からの厄災であり、「厄」は内にある業を示すと言われています。
そして、もうひとつは外からの「魔」でも、内の「厄」でもない!将来に向かっての頑張りや、希望に向かう心を支えてくれるのは「魔除け」でも「厄よけ」でもなく、正に「頑張りますから守護下さいのお守り」なのです。
理屈では、魔を寄せない、厄を出させない、のだから心や頑張りを支えているという考え方もありますが、折れそうな気持ちの支えでもあり、努力を苦しいと感じる心の拠りどころとなるのはやはり「お守り」なのです。
「人事を尽くして天命を待つ」の天命は、「魔除け」や「厄よけ」ではないと、解した方がうなずけます。
その意味では、身につけているだけ、持っているだけで金運アップとか、身に付けているだけで商売が繁盛するという様なアイテムは、人事を尽くすなどの努力や頑張りが伴わない限り「お守り」とは呼べません。
金運グッズや、開運グッズになるのでしょう!
安産や交通安全、学業成就などの「お守り」は、健やかな子供を出産するために健康やケガをしない事に気を配ったり、事故を起こさないために注意したり、などの努力はしている!やはり頑張っているのです。
「今日も一日何事も無く、無事に過ごす」ために持つ「お守り」も、何事もなく平穏に一日を終えるために、仕事を頑張ったり周囲に気を配ったり努力をしますので、守護下さいという事なのです。
|「お守り」には有効期限があるのか?
風水や運気などに関して博識の知人や、親しい神主さんにも確認してみました。
「お守り」も外界や世俗にさらされる事で、時間の経過と比例して持っている「気」が弱まり効力が減少するとのこと。
サイクルとしては、1年ほどで替えるのが最良という事です。
新しい「お守り」を入手する場合は、古い「お守り」を返納してからでなければ効果を得ることはできず、むしろ逆効果になって陰の気が宿ってしまうといわれています。
新しい「お守り」で、効果を期待するためには先に古い「お守り」を返納してから入手する事が大切になります。
但し、どんな事が有っても「お守り」の有効期限は1年です!では、ありません。
神様や「お守り」のご加護に期限はありませんが、持ち主の身代わりになって災厄を受け続けて「気」は失われて行きます。
そうなると、効果を発揮できなくなってしまうので、新しい 「お守り」に入れ替える目安として、1年間が良いとされています。
但し、例えば「安産」や「学業成就」など目的に特化した「お守り」は、子供が無事に生まれた・・や、受験が終わった際には、直近の「お焚きあげ」の時まで待って納める等の返納の行事が必要になります。
また、ず~っと大切にしてきた、これからも信奉し続けたいと思える「お守り」については、半年周期や1年に1回の浄化する儀式を行うことで「気」を保った状態で持ち続ける事ができるという事です。
そんな「お守り」を持っている方は、羨ましい人!ということになるのかも知れません。
|必要なのは「魔除け」?「お守り」?それとも両方?!|
人によって「魔除け」なのか「お守り」を持つべきなのか?を迷う場合があるかも知れません。
「厄除け」は基本的には、年齢に応じた厄払いのお祓いをすることで一つの区切りを付けたことになります。
それでは、「魔除け」や「お守り」はどうでしょう?
「お守り」は、基本的には自分自身の内面からくる災厄や心配に対してのもので、気持ちの迷いや不安から自分の頑張りを支えるという意味もあって、懸命に過ごす日常を心穏やかに送るために持つものという事になります。
対して、「魔除け」は外敵から心身を守るために持つものであり、自分の気持ちや頑張りではどうすることもできない災いを近寄らせない、または起きてしまった災いを取り除くのが「魔除け」と考えていいでしょう。
存在していると仮定した「鬼」や「妖怪」、ある意味では「風邪菌」や「新型コロナ」も外敵になるのでしょう。
これらが、心身への憑依や進入を防ぐ、または取り除く役目を担っているという事になります。
「ドラキュラ伝説」で有名なルーマニアなどの東欧では、「お守り」という概念は希薄で、似た様なものでは「ラッキーアイテム」と呼ばれて種類も多く、現在も広く認識されていますが、主流は「魔除け」で歴史的にかなり古くから存在し信奉されてきた様です。
地域やお国柄などによっては、広義の意味で主流が「お守り」であっても「魔除け」であっても・・、意味合いは同じ様に解されている場合もある様ですが、厳密にいうと「お守り」と「魔除け」は違うと理解して、それぞれ必要に応じて身に付けたり身近に備えておくのが最良なのでしょう。
個人的には・・極端ではありますが、自分自身の気持ちや心が影響する様な内からの業はない、或いは取り立てて今何か目標を掲げて特段頑張る状況にはない、よって「お守り」は必要ない!という判断をされる事もあるかも知れません。
しかし、外からの災いは自分の意志や心構えとは関係なく、突如あるいは知らない間に入り込んで来る可能性は絶対にない!とはいえないのです。
考え方によっては外からの災いから心身を守るという意味で「魔除け」は絶対に必要と思うのです。